静岡県伊東市の廃隧道。国道135号の旧道に位置する。竣工は古く1925年。1993年に新宇佐美トンネルが供用開始したことで、約70年近く使われてきた宇佐美隧道は幕を下ろした。
内部には手掘りの跡が伺える。当然ながら当時の技術を結集して作ったのだ。
事前の調べによると、全長114m、幅員5m、高さ4m。ここからいくつものトンネルを超えてゆくこととなる。
一度振り返る。赤い矢印に緑が絡まり、終末的な様相を見せている。
が、気持ちは晴れ晴れとしている。空は青い。右手には駿河湾が広がる。
どんどん行こう。
遠くに新島。いつか行ってみたい場所だ。
崩落の跡。
彼岸花。山頭火の歌が浮かぶ。
さらに歩みを進める。
↓
ついに
↓
お目当ての…
↓
洞門だ!!美しい白亜の洋風デザイン。大正時代の建築なのだ、思わず拝みたくなる。
因みに、この土砂崩れは想定外。
ここはテレビ番組「道との遭遇」で知った。それは最近の撮影であり、その映像には土砂崩れは無かったはず…。
気を取り直して進む。アーチを描いた建築。当時の意匠が凝らされている。
おっと自転車だ。君はいつからここにいるのかな。
再び土砂崩れ。先では、洞門が古代遺跡のようにそびえ立つ。
ずぅぅぅ〜ん。
ほんの数十年前は、この標識も活躍していたのだろう。感慨深い。
ついに行き止まり。
行き止まりで振り返ると、左手に石碑だ。
昭和38年に自動車事故で命を落とされた姉妹を供養するものであった。翌年に建立されたという。今は殆ど誰も通らないこの場所で、ひっそりと佇んでいる。
当時隧道を造るのは命懸けだったという。人々の生活の便のために造られ、時代とともに無用となり朽ちてゆく。そんな廃隧道は、今も日本中で静かに眠っている。
コメント