東北三大鉱山の一つ。従業員1800人を越える大規模な銅山であった。深い森林に囲まれた台地に神殿のような遺構が残されている。
高鳴る鼓動を抑えつつ、細い小路をゆく。
そしてこの光景!!
想像以上の世界が広がっていた。幾何学的な黄色いコンクリートが並んでいる。
天井では赤茶色の鉄骨が眩しい。
田老鉱山で有名な絵もいたよ。
まさに荘厳…。しばらく見とれてしまった。
あの階段から上に行けるのだろうか。
ゴンドラのような事務所が天井にぶら下がっている。震災で相当揺れたはずなのに、満身創痍で踏ん張ったのだ。
階段は絶望的だった。崩壊の時はそう遠くないかも知れない。
上から見下ろす。
さっき見上げた宙ぶらりんの事務所。
魂が宿り、己を支えているかのよう。
壮大な人工物が植物に侵食されていく光景はまさに圧巻だった。
自然の中にあって不自然さを感じさせない。時間の経過と共に人工物は自然に還り、そして同化してゆく。
今日一番のお気に入りはこれだ。天井の木々はこれからどこまで成長するのだろう。
どうやっても、あの場所には行けそうにない。あまりに幻想的な、あまりに美しい光景に、嘆息が止まらなかった。
敷地は広大で、他にも見所は沢山あった。
内部は火事で焼けただれていた。階段のコンクリートも剥がれ、うっすら苔が見える。
鉱山の古い資料がたくさん。
風が強くなってきた。天気予報によると、台風が迫っている。早く帰ろう。
田老鉱山の訪問はもうだいぶ前のことである。今はどうなっているのか、今でも度々思い返している。
提供:廃墟遺構空撮
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