池の畔にある割烹料亭。1970年代から存在は確認でき、2000年代前半には廃墟としての言及が見られる。夕暮れ時、一羽の鳥が水面を気持ち良さげに進んでいる。
対岸から辛うじて建物が見えるが、夏季は藪が極めて濃く近づくことすら難しい。
ならば冬に。
わりとすぐに見えてきた。
和の趣向が凝らされた外観。石橋の下には川が流れていたのだろうか。
ふ る さ と の文字が掲げられていた形跡。
池側はスッキリしている。
一歩入ると、廃一色の世界が広がっていた。
白いプレートの破片をかき集めて、やっとこさ完成。確かにここはふるさとだった。
見上げると二階の床が無い。
奥にも階段があった。まだのぼらない。
床に敷かれたままの布団は、もはや自然の一部。
所々で二階からの崩壊が見られる。
二階へ。
細心の注意…。
さっき見上げた大穴だ。
当時の面影を語るものは、殆ど見つからなかった。大蛇が暴れまくった後のような、徹底した廃の世界。
薄暗い帰り道。外観はいいけど立地がねぇ…。池の向こうから声が聞こえてきそうである。
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