昭和初期頃の築と推測される木造医院。江戸時代に遡る古い歴史を持つという。
受付の小窓が開いていた。覗いた瞬間…思わず笑みが溢れる。
診察台に枯れ葉がはらり。ここはまるで美術館のよう。奥に鏡が掛けられている。
きっと100年プレイヤー。今までどんな景色を映してきたのかな。
さっきの小窓から見えた部屋へ。
息が止まるほどの感動。きっとだいぶ前に一度整理されたんだ。色々隅に追いやられている。
ここは元々は受付部屋だったのでは…。様々に想像するが、実際のところ分からない。
このガラス窓の柄。昭和生まれには懐かしい。
まだまだ使えるよ。ふと、そんな声が聞こえたような気がした。
お洒落なマーク。
経年の美しい色合い。あめ色とでも言おうか。
ガラスに「毒薬」の文字が見える。
先程の診察台がある部屋へ。
奥の手術室へ行ってみよう。
ここにも、圧巻の光景が広がっていた。
ここは廃医院の見本市のようだ。
残された鉗子たち。
左は小さな薬瓶を並べて置く回転瓶架。右は扁桃腺の腫れを診るのに用いるヘラを入れる嘴管瓶。使用・未使用を見分けるために色付けされている。
見上げると採光のための大窓だ。
無影灯が導入される前の、古い古い手術室なのだ。
ここに、訪問出来て本当に良かった。
残された数々の宝物。いつか廃墟が持つ運命の日が来る前に、少しでも救い出せないものか。取り返しが付かなくなる前に。
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