
万古(まんご)集落は、長野県飯田市の廃村集落。万古川沿いに位置する。トンネル近くの山道から冒険のスタートだ。

何とも心許ない足場。これは想像以上に大変な旅になりそうだ。

土砂崩れ防止の柵。ここから先はそんなものは無い。



崖ポイントもいくつかある。有事に備え、ここは一人で来る所じゃない。


橋だ!

手作り感のある橋を渡ってさらに進むと…
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今度は、吊り橋だ!!

天気にも恵まれ、何とも気持ちが良い。因みに橋はグニョングニョン揺れる。堅牢とは言い難い。

橋から見える万古川の清らかな流れ。


つ゛〜め゛〜た゛〜い゛〜川はかつて経験がないほど冷たかった…。

グニョングニョン…吊り橋を渡り更に進む。
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家屋が見えてきた。

周囲には当時の生活用具。

む!左奥にあるのは…

野良トイレだった。当時は壁や屋根に覆われていたのかな。


軒下には竿。洗濯ばさみと紐もきっと当時のままだ。

万古集落は1980年代はまだ人が住んでいたと聞いている。最終的に無人となった時期ははっきりしないが、だいぶ朽ち果てている。



掛けられた服も当時のままに。

竈だ。蓋に「イソライト」の文字。国産メーカーで質が良く、昔の家庭では定番だったらしい。

さらに進むと、再び橋。本日三つ目だ。


これは脆弱。慎重に迂回。

急斜面を登った先には、トイレ。

中はすっこ抜けておった…。実際に用を足したいと思っていたら、絶望だ。
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この先は崖崩れで通れなかったので
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再び渡河。
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つ゛〜め゛〜た゛〜い゛〜。やはり川は氷水のように冷たかった。

上陸。集落は徒歩でしか辿り着くことのできない立地と聞いていたがその通り。本当に陸の孤島だ。

食器棚にダイナマイトの箱。山の仕事で頻繁に使っていたのだろう。


再び家屋。


襖の裏張りには昭和六年の新聞。気の遠くなるほどの時を感じる。

集落には帰化氏族である秦氏の一族が住み着いたとの言い伝えもある。現にこの家屋には「秦」という名字の方が住まれていた節があった。

番犬もいたんだワン。


これは珍しい。五右衛門風呂だろうか。

重りを計る器具。残された陶器の器たちがこちらを見ているようで可愛い。

さらに十分ほど、急峻な道を上り詰めた先には石碑が幾つか残されていた。文政や天保の文字から江戸時代のものと推測される。

文字の凹みには数匹の天道虫が冬眠していた。優しい石碑だ。今日は大満足の一日になった。今まで多くの集落を巡ってきたが、ここは確実に記憶に残る。道程は大変だが、十分に見合うだけの浪漫に満ち溢れていた。
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