
広島県の苦の坂峠にケーブルハットが残されている。

竹の小路をズンズンゆくと…

見えてきたー!

正式名称は「逓信省装荷線輪装置用ケーブルハット」。

昭和初期に用いられた電話用地下ケーブルの中継施設だという。通信電流が弱まるのを防ぐため「装荷用ケーブルハット」が50kmごとに設けられた。この苦の坂峠のケーブルハットもその一つとなる。

説明は小難しかったが歴史があるのだ。ケーブルハット君も少しドヤ顔。

額には逓信省を表す「〒」のマーク。

中は狭い。にじり口のように、お辞儀をして入る。

ネジの跡。きっと電信のための様々な機器が設置されていた。

今はしんと静まり返っている。

チラッ。


外に出る時、地面が盛り上がっており頭を軽くぶつけた。これ皆やってるんじゃないか。ケーブルハット君はいたずら好きなのだ。

一旦通過して、さらに進むと…

三叉路。道はどこまでも続く。この辺りは幕末期の古戦場でもあったようだ。

竹の小路は気持ちが良い。時折遥か頭上でカンカンと竹同士が触れ合う音がする。


ケーブルハット君は静かに余生を送っている。

周囲にはたくさんの仲間がいるようなので、きっと寂しくない。でもどこかで人間が会いに来てくれるのも、楽しみにしているのだ。

日本中に100カ所以上のケーブルハットが残されているという。中には森の中に埋もれていたり、未だに行方不明のものもあるという。ケーブルハットを探し求める旅というのも夢があって面白いかも知れない。
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