雄別炭鉱は1923年から1970年まで、釧路北部の山中で炭鉱の操業を行ってきた。最盛期の一帯の人口は15,000人を越え、生活用品を購入する場所として、この購買部会は賑わったという。
しかしエネルギー革命、さらに1969年に茂尻炭鉱で死者19名を出すガス爆発事故が発生。急速に資金繰りが悪化し、翌年に突然閉山となった。
山間僻地の企業城下町であったことから、急速に人口が流出し、一帯は一気に無人地帯に。放棄された多くの遺構が山中に残されている。
その中でも一際目立つ炭鉱購買会。
一歩入ると神殿のような佇まい。足音が静かに響き渡る。
右手、受付だろうか。
頭上には照明。この辺りの夜は真っ暗だろう。きっと大切な役割を果たしていた。
いらっしゃいませ~の目線。左奥には…
大きめの箱が二つ。きっと当時の物。
哀愁漂うヘルメット。奥へ進もう。
それは言葉にならない感動だった。
約半世紀の沈黙が、星霜が降り積もる場所。
これほどの色彩美があるだろうか。もはや芸術。これまでのシナリオがそう思わせるのだ。
天気にも恵まれた。
反対側も見てみよう。この写真、何か生き物がいるのに気付くだろうか。
まるで鳩時計。あの四角の中を数羽の鳩がねぐらにしているようだ。
傾いた窓枠から眺める。ちょっぴり絵画みたいだ。
白いビニールが一枚、風で音を立てていたので驚いてしまった。周辺はヒグマの生息地。少しの音にも敏感に反応してしまう。
外に出てみよう。
なんと屋上へ続く階段があった!
外観も老翁の域。惚れ惚れする。
タイガー魔法瓶。ガオー。
登ってみよう。
屋上。当時はどのように使われたのだろう。
正面入り口の頭上に立つ。目の前の道は雄別炭鉱へ続く一本道。この先には、大煙突や病院もあるという。
澄みきった空だ。時折、熊対策にホイッスルをヒューッと吹く。遠くでエゾシカがヒュッと応えてくれた。
再び中へ。
とても落ち着く場所だ。ここに来られて本当に良かった。
もう少し探索しよう。
これはこれは…。崩壊も時間の問題だ。
濃厚な時間を過ごすことが出来た。いつか又、訪問したい場所だ。
上から終始ずっと見下ろしていたポッポさん、元気でね。
正面のぽっかり開いた出入口。今後何人がここを通り抜けるのだろう。当時の活気とは裏腹に、心地よい静寂に包まれていた。
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