名前の由来。航空写真で見ると、カタカナのコの字になっているから。入院病棟のみが残る。
夕暮れ時。蔦が這う静謐なる廊下をゆく。
気の遠くなるような長い星霜。畏怖の念すら感じる。
二階。
この小さな診療所が、地域住民の医療をまかなっていた。
今はもう誰もいない診療所が、多くの命を守っていたのだ。
残されたハンガーが哀愁を誘う。
頭上からぶら下がる赤いバケツ。全てがここでは必要不可欠な構成員だ。コの字医院は芸術なのだ。
当時は患者さんがいた。想像すると、不思議な感じ。
1988年のカレンダーと、古い視力用紙。
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あれっ?
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あの部屋はどこだ。
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それは、こっちこっち…
船の模型が迎えてくれた。
篠山紀信さんが撮ったと言われる裸婦像。一体誰なのだろう。今はどこで何をしているのかな。
一枚一枚の写真が自然と絡み合い、しっとりと物語を紡ぎ出す不思議な空間。コの字医院は今も生きている。
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