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生駒山荘

生駒(いこま)山に広がる廃墟群。それぞれは小粒ながらも個性派揃いである。ここもまた思い出深い場所となった。右下に生駒山荘の表札。きっと誰かが律儀に立て掛けて置いたのだろう。

一階部分はすっかり朽ちてもぬけの殻。骨組みだけが残されている。

もちろん気になるのはこの穴だ。地下に降りるための階段も、もはや無い。

降りてみたいけど…術が無い。

地下施設はコンクリ造りで健在のようだ。


見つけた!!

階段☆

緑に覆われ隠れていたのだ。トン…トン…トン…慎重に降りる。

えもいわれぬ、落ち着いた空間が待っていた。

先ほどの穴から光が射し込んでいる。

水滴で曇るレンズ。生憎の小雨は降り続く。

ふと外を見やる。

風情ある景色ではないか。外は一面の竹藪なのだ。

隣には石造りの浴場が残っていた。


そしてなんと

もう一方の浴場は

湯浴みの準備が出来ておった

雨の廃墟も良いもんだよって、何だか言われているような気がした。

ちょうど雨の切れ間、竹の隙間から光が射し込む。

ここを訪ねる人はほぼ皆無だろう。静かに静かに朽ちてゆく。

何気ない日々は、時に気付きを与えてくれる。それは廃墟探索と言えども変わりはないのだ。

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