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崩壊医院

木造建築は美しくも儚い。正面は洋館風で体を保っていたが、建物の大部分は木造。太陽が射し込み、神々しい光を放っていた。

二階からの眺め。1970年代から存在が確認されている個人医院。無への回帰は進む。

「レントゲン室」の表札がある部屋。固まった半開きの扉から中を覗くと…。

中は別世界。堅牢でシェルターのようだった。

再び一面の廃世界。味わいのある空間だ。

ここは院長の急逝により閉院したという。沈黙を決め込む医療器具。窓際にある造花は今もって鮮やかだ。

壁にはクリーニングを終えたままの白衣。右手のエプロンはきっと手術用だろう。

手術室へ…。

時計の針は6:35で止まったまま。

静謐な空間は、大きく変貌を遂げていた。

手術室に残された体重計。何かのメッセージのように、僅かな重みを示している。

瓦屋根は自重による崩壊をもたらす。隙間からは新しい命が芽生えている。

ゴミ箱には見慣れたキャラクター。

二階へ。

12號室。部屋数は多い。

古い古い雑誌。患者さんが読んだのだろう。昭和47年のものだった。

院長室へ

そこは、半世紀の重みを感じる場所。

温度計には衆議院議員さんの名前。

当時の個人医院の先生は紛れもなく地元の名士だ。地方の医療を一手に引き受ける責任も、計り知れない。

左手の大きめの部屋には「看護婦室」の表札。看護婦さん達の休憩室だ。夜間の宿直もあっただろう。

昔のポスターには凄みがある。1970年の三菱自動車「ミニカ’70」。絵画の秀逸さも去ることながら、積年の重みも加わって思わず見入ってしまった。

廃墟を旅していると、一つ一つの奇跡的な巡り合わせに、深い感動を覚える。この建物は息をしている。そして静かに星霜を重ねている。

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