兵庫県神戸市灘区の摩耶山中腹にあるホテル。
アールデコ風のユニークな建築として知られ、美しい外観から廃墟の女王と呼ばれている。
大広間。
美しいのは外観だけではなかった。
アーチ窓から秋の木漏れ日が差し込んでいる。廃となっても、気品に満ち溢れている。
かつてこの場所は栄華を極めた。
沢山の有名人があの舞台に立ったという。
お客さんも沢山やってきた。人が多過ぎて大広間に入り切らない時もあったという。
太陽の光は差し込んだり陰ったり。
天井に残された照明。まだ落下していない最後の一つだという。
また曇ってしまった。女王は気難しいのだ。
ここは通常は立ち入ることは出来ない。今回、機会を得ての撮影だ。
生憎、太陽は本調子ではない。また来いってことかな。そう思わせる力がここにはある。
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階段を降りて、外側から見よう。
奥から、魑魅魍魎の手招きを感じる。
この時ばかりは野良猫になりたいと思った。小さなカメラを首から下げて、素知らぬ顔で登ってゆく。きっと監視カメラも許してくれるだろう。
このホテルは何度も解体の話が持ち上がったという。しかし、現に存在するということは、なにか神懸りなものも感じ得ずにはいられない。
生ける伝説。
写真はあまり撮らなかった。しっかりと目に焼き付けたかったからだ。しばらくは良い夢を観られそうだ。
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