通称「ニッチツ」。最盛期には数千人が住んでいたという大集落で、学校、商店、病院、一通り揃っていたという。門番のように立つ伝言板。俗世間から隔離された異次元への入り口のように見える。
今は誰一人住んでいない。二階建ての木造長屋が斜面に複数残っている。
ここは全国の愛好家を魅了して止まない場所なのだ。
長屋に一歩入ると、昭和の情緒がそのまま残されていた。
懐かしいゲームだったり。
大人気だった漫画のポスターだったり。
半世紀前が手付かずのままだ。
数年前の訪問時は、だるまがあちこちにいたが全く見当たらない。何処へいったのやら。
カーテンがローリング。岡本太郎もビックリだ。
夏の廃墟には様々な危険が伴う。今日は時期的には正解だったようだ。
晩秋のニッチツはいいなぁ。紅葉も赤い絨毯となって敷き詰められている。
当時は、縁側でのんびりしたことだろう。昭和の風情を感じるブー。
小振りなブランコだ。
大滝村立鉱山保育園。
一部屋をパーテーションで区切る小さな小さな保育園だ。
子どもたちは、もう立派な大人だ。
赤岩文化会館。
当時はモダンで機能性とデザイン性を合わせ持った建造物だった。演劇や映写機を使った映画館も上映され、人々の憩いの場だったという。
手前は卓球台。体育館にもなったのだろうか。屋根がぽっかり空いて、光が差し込んでいる。
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日窒診療所。
ニッチツの社員と住民の健康は、この診療所に一手に任されていた。
天井の無影灯はいつしか消えた。
今は自然のライトが手術台を静かに照らす。
かつてはピカピカであったろう医療器具。
今は必要とされなくても、
どんなものにも、
必要とされていた時はある。
日窒廃村。派手さはないのに、どうしてこんなにも人々に愛され続けるのだろう。まるで老舗の食堂のように、今も人里離れた秩父の山奥で息づいている。
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