田舎の田園風景の中に廃墟となった音楽学校があった。
打ち捨てられたギター。床も哀愁色だ。
製作も行っていたようだ。
完成せずに廃となっていくのは、なんともやるせない。
こちらにもギターたちが。
一瞬、ギター屋さんを彷彿させるが、売り物ではない。
音を奏でることなく、朽ちてゆくのだ。
窓の外では静かに季節が巡る。
ハンガーにはタオル。閉鎖は突然だったのだろうか。
崩壊は屋根から始まる。あちこちで一階まで突き抜けていた。
ジブリ映画のように美しい渡り廊下。
沈黙のドラム。
良い廃墟には、良い窓。ここも例外ではなかった。
この建物は旅立っていった。この立て掛けられたギター。きっと、むこうの世界では美しい音色を響かせている。
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