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オリエント急行

「オリエント急行」という名前の響きがロマンを感じさせる。尋常ではないトンでもない笹藪を掻き分けて来た。

振り返る。言葉にならない。

この寝台列車は外国製の本物だ。それを1978年に滋賀県のホテルが買い取り、宿泊施設としてオープンさせた。食事はそのホテル内でとり、あくまで泊まり専門であったようだ。

発想はユニークだが、1988年に敢えなく閉鎖。その後流転し、最終的にこの場所に放置されたという。

少し夕暮れ時だ。

昔は実際にヨーロッパを走っていたという。この窓はどんな風景を映してきたのかな。

ガタンゴトン…ガタンゴトン…

多少の手入れは施したであろうが、当時の雰囲気はしっかりと残っている。

ホルダーも当時のままに。

フランス、ドイツ、イタリア、英語と様々な言語のプレートも散見された。

隣への車両へ。

冬なのに笹藪が凄過ぎる。夏はどうなるのだろう。

うわっ!!!

なんじゃこりゃあ~!!!

な、なんとレーシングカーたちが眠っていた。

実は下調べで知っていたのだが、インパクトは抜群だ!!めちゃくちゃイカしてる☆一号機とある。

彼らの生い立ちは分からないが、そんなのどうでも良くなるほどに、

カッコいい!!!

チラッ。

実は、手前に白いマシーンがあった。シェルマークが可愛らしい。

こちらは二号機だ。

両者はきっと仲良しだ。夜な夜なお喋りしているに違いない。

奥には、五号機もいた。

飾られている額入りポスターやプレートも渋い。

これらは現役時代からあったのだろう。

寝台列車とレーシングカーの組み合わせは…

斬新だけど悪くない。

別の車両へ。

こちらにもレーシングカー。

内部構造が目を引く。遊戯用ではなく、もっと本格的な感じがする。

六号機だった。

レース信号。通電したらまだ光るのかな。

さぁ、最後の車両だ。

斜面から見ると、唯一日当たりが良い。

黄昏のいい時間だ。

扇風機にハンガーフック。お洒落な帽子など掛けたのだろうか。

ガタンゴトン…ガタンゴトン…。

空想の世界ではあるが、列車に揺られている気がする。ガタンゴトン…ガタンゴトン…。

多くの廃墟を巡ってきたが、ここには唯一無二の世界が広がっていた。お互いあてのない旅を続けていくのだ。

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